こんにちは!ML代表の高田です。
いきなりですが皆さんはフットボールの指導者ライセンスは受講・取得されたことはありますか?
この指導者ライセンスについて日本の指導者の方からお話を聞いていると、日本のライセンス受講の内容とスペインのライセンス受講内容がかなり違うということが分かりました。
そもそもでスペインでのライセンス受講は、ある一定の期間において”学校”に通いながらライセンス取得を行います。
いわゆる、”指導者学校(コーチングスクール)”が同じ州の中にいくつも存在します。
実際に僕自身も8年前にバルセロナでレベル2(日本のA級相当)までを取得しましたがその内容に正直驚きの連続でした。
今回の記事ではそんなスペインの指導者学校の実態を具体的に紹介するので、近い未来指導者としてスペインの指導者ライセンス取得に挑戦してみたいと考えている方はぜひ最後までご購読ください!
【この記事を書いている人】
目次
❶一般情報
❷受講するための”最低条件”
❸ライセンス受講の構造と流れ
❹ライセンス取得によるメリット
❺ここがすごい!【受講科目について】
❶費用は?期間は?1日の授業時間は?
まず初めにスペイン指導者学校の一般情報を順番に共有していきます。※当記事内ではスペイン国内の中でも僕が住むカタルーニャ州に位置する指導者学校の情報として共有します。州によって若干の違いがあるのでお気をつけください。
学校の期間ですが通常はそのシーズンの9月〜翌年の6月までの約9ヶ月間の受講期間となります。(バルセロナ市内にも複数の学校が存在する中で、学校によってはスタート時期に若干の違いが生じます。
基本的には平日月曜日〜金曜日まで9時-14時の時間割で授業が行われます。
次にライセンス受講における費用についてです。
後にも紹介しますが、スペインの指導者ライセンスはレベル1,2,3の表記の元に3つに段階に分けられます。
受講するレベルによって、若干ですが費用が以下のように変動します。
Level 1: 1000ユーロ (約13,0500円)
Level 2: 1075ユーロ(約14,0300円)
Level 3: 1200ユーロ(約15,6600円)
※一般的には、入学前の段階にレベル1,2をまとめてお支払いするケースが多いです。
❷”コレ”がないと受講はできない...
次に、皆さんがライセンスを受講するための”最低必要条件”についてです。
まず初めに、どのレベルにも共通して”フィジカルテスト”の受講が必要となります。
このテストを行う目的(評価対象)は大きく分けて以下の2つにあります。
①基礎的フィジカルコンディションのチェック
②基礎的フットボールスキルのチェック
ちなみに、採点基準はこちら:
基礎的フィジカルコンディション
⑴50m走→男性:8秒未満
女性:8,5秒未満
⑵2000m走→男性:10min 以内
女性:12min 以内
⑶垂直跳び→男性:45cm
女性:35cm
⑷柔軟性→男性:30cm
女性:35cm の屈曲
⑸メディシンボール投げ→6m
基礎的フットボールスキル
→全項目の平均ポイントを審査
以上の内容で行われるフィジカルテストに合格をし、証明書を受け取ることがまず初めの最低必要条件となります。
ご覧の通り何か特別なことを求められるわけではありませんが、例えばスペインに渡ってから短期間の内に学校へ通うことを考えられている方は、日本に滞在している間から少し準備を行っていてもいいかもしれませんね。
この他にもレベルに応じて、受講のための必要条件がいくつかあります。
Level 1:中学校卒業
Level 2: Level 1を取得済
Level 3:Level 2 取得済み,高校卒業,Level 2を取得後からの計算で最低でも6ヶ月の指導経験が必要(指導するカテゴリーやディビジョンを指定されることもある)
❸ライセンス受講の構造と流れ
既に前項目でも話しましたが、スペインの指導者ライセンスは大きく3つに分けれます。
各レベルの簡単な比較は以下の通りです。
・Level 1 → 日本指導者ライセンス B級相当
・Level 2 → 日本指導者ライセンス A級相当
・Level 3 → 日本指導者ライセンス S級相当
また、各ライセンスレベルは単体で存在しますが、9月〜翌年6月の期間はLevel 1と2を合わせた総合期間となります。
万が一、上記に掲載されている期間でLevel 1 に受からなかった場合は、追試を受けることになります。
また、この追試でも合格点が出なければ事実上 Level 2の受講はできなくなります。(過去に1.2名のみ受かることのできなかった日本人指導者の方を見たことがありますが、基本的には真面目に授業に出席をし、遅刻もせず受講ができれば問題ありません)
❹ライセンス取得によるメリットは?
各ライセンスを取得する上でのメリットは主に以下となります。
Level 1.2
育成年代全てのカテゴリーの指導可
Level 3
-身体活動とスポーツ科学の学位
-初等教育の学位(すべての専門分野)
-社会教育の学位
-理学療法の学位
-作業療法の学位
-ソーシャルワークの学位
-看護学の学位
-観光会社と活動の学位
-観光学の学位
を勉強するための直接アクセス権の取得が可能になるのに加えて、全ての育成年代のカテゴリーの指導ができ、1部チームの指導も代表監督も可能となります。
皆さんの中でスペインの指導現場で指導をしてみたいと考えている方がいたら、Level 2までの受講をお勧めします。
実際僕も、Level 2までを取得した翌年に街クラブでの指導が決まったのですが、「Level 2まで所有している」と伝えたときのクラブ側の顔つきの変わりようは今でも覚えています。
そのくらい、現地で指導をする者にとっては価値ある資格だということです。
さらに具体的なメリットをまとめた記事はこちら。
❺衝撃のボリュームと科目数
ここからがスペイン指導者ライセンス受講においての最大の”サプライズ”です。
まず初めに、受講科目の内容について。
様々な科目が存在しますが、それらの科目を2つのブロックに分けて定義されています。
①一般ブロック
②特異ブロック
各ブロックに存在する科目はこちら:
①一般ブロック
-スポーツの解剖学的および生理学的基盤
-教育と訓練の心理学的基盤
-教育と訓練の教育学的基盤
-一般的スポーツトレーニング論
-スポーツの社会学的基盤
-スポーツの組織と法律
-スポーツにおける応急処置と衛生
②特異ブロック
-プロフェッショナル進化論
-チームマネジメント
-TRメソッド論
-フィジカル論
-ゲームのルール
-スポーツの安全性(保障)
-個人戦術
-集団戦術
-個人テクニック
-集団テクニック
-GK論
-身体障害者向けスポーツ
-英語専門用語
-カタルーニャ語(バルセロナ地域の学校のみ)
また、Level 3 になるとさらにトップチーム向けの内容になるので「試合分析」や「テクノロジーの使い方」といった科目が登場します。
ただコレだけでも21科目.. なんならもっとあったような気もしますがものすごいボリュームです。
さらにこの理論科目以外にも、ほぼほぼ毎週にグランドでの指導実践や各科目別の定期テスト、さらにプレゼンテーションや外部活動として必ずどこかのチームに帯同し、クラブからサインをもらって毎月学校に提出することも必須です。
十分に現場での活動時間を確保できていない、もしくはクラブ側からのサインがもらえないといくら理論科目の成績が良くても合格にはなりません。
最後に...
留言